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執筆者の写真エース栗原

第14章エース栗原回想記

2010年世界デュアスロン選手権エジンバラ/イギリス

2010年デュアスロン日本チャンピオン、そして大学院に進学し、トライアスロンについての研究を進めながら迎えた3回目の世界選手権。昨年の6位入賞よりさらに高みを目指すためにやってきた。


今大会はスコットランドの首都エジンバラ(Edinburgh)での開催、ロンドンから500kmほど北に位置している。それまでの遠征では安い自己手配だったが、今回は日本チャンピオンに付与される公費派遣での遠征だった。

さすがにヨーロッパの北部地域ともなると一日目の移動時間は24時間近く、しかしながら時差ボケを防ぐためにもできるだけ途中で寝ないようにしなければならなかった。

レース会場のホリルードパークはアップダウンにしかない丘陵で、これまでの世界選手権と違いランもバイクも坂道の連続だった。

修善寺で日本チャンピオンになったのだからむしろこのコースは得意。前々日に行われる国別パレードで様々な国と交流しながら士気をたかめていった。

《国別行進でJAPANの前はIRELAND》

《スコットランドの民族衣装キルトの音楽隊》

U23メンバーは

〇吉田茂樹(明治大学)

〇岡本直也(駒澤大学)

〇配島亜美(日本大学)

〇小林歩(広島大学)

みんなランを得意とする選手で、デュアスロン最高の舞台での健闘を誓い合った。


そして迎えるレースデー。スタートラインにならぶ選手コールでは"2010 Japan National Champion"と箔をつけてもらい、スタートラインにつく。1stRunで多少遅れてもバイクで取り戻せるはずだ。チャンスは2ndRunと思いながら走り出す。

上って下ってを繰り替える周回コースで、他の選手の下りの速さに驚く。ほぼダッシュのようなスピードで駆け下っていく。周回を重ねるごとに先頭からは遅れるが、バイクでの余力を残しながら進める。


バイクに移ってすぐに集団走行で前を追っていく。上りの速度は速くは感じなかったものの、下りのスピードが恐ろしい。70km/hに近いスピードでコーナーに入っていく。コースアウトを加味して高速で危険なコーナーには藁のブロックが置いてあるが、それがまた恐怖心を誘ってくる。


下りのコーナーで遅れ、僅かな平坦区間でぎりぎり追いつくも、そこからは上り坂。2周目の上りこそ粘ることが出来たが、3周目の上りではちぎれてしまい単独走行に。後ろにはまだま集団は見えない。


3周目の終え、平坦区間にあるラウンドアバウトでまさかの落車。日本ではほとんどみかけない特殊な交差点で焦る気持ちもあって操作を誤ってしまった。

一瞬の出来事でなぜ倒れているのかすら分からないような状況だったがすぐに立ち上がり、後ろから来た集団に吸収される。しかし、落車で打ち付けた左の腰が痛くなかなか力を込めることが出来ずに遅れてしまう。

この時点で上位入賞の夢はなくなったが、しっかりとゴールを見据えて走り進めていった。集団を吸収され、力を込めることが出来ずにチギれ、再び集団に吸収される。左腰の痛みも増しているが諦めたくない。


そしてフィニッシュ。U23で8位だったものの、7位とは5分以上の差、U23世界王者とは10分の差があった。これが世界選手権。


U23最終年はほろ苦いものとなった。

まだ20代前半とデュアスロン日本チャンピオンということから、新規ロードレースチームVAX RACINGの加入を決める。


次回、デュアスロン界からヒルクライム界へVAX RACING。


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