第19章エース栗原回想記
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  • 執筆者の写真エース栗原

第19章エース栗原回想記

2013年山梨での再スタート


「学生時代にお世話になった栗原です。バイクを買おうと思っています。次東京に行く機会にお店に行かせてください」


そんな電話をかけてから僕は大田区にあるバイク屋さんに向かった。店長とはSCOTT RIDERの時に出会い、何度か会話をして、レース直前のメンテナンスで少し見てもらった程度。


今の僕の想いと現実を打ち明けた。

セミプロ時代のように最高の機材には乗れないし、現状では高いバイクは買えない。


「まだ競技をやっていたいんです」と細い声で話した。


「50万か?100万か?」 そんな自転車の値段とギアのグレードの話になると思っていた。

しかし店長から返ってきた言葉は違った。




「そう言うと思った」




その言葉を残し、店の奥に姿を消した店長。

再び現れた時、その手にはOPERA SUPER LEONARDOの完成車があった。

そしてこう語った。

「お店に落ちてた部品で作っただけだから、栗原にあげるよ。とりあえずこれに乗って、本当にやりたくなったら、また来なよ」

スポンサーに切られた僕をなぜ救ってくれるのだろう。

そんなことを思いながらも、僕は「ありがとうございます!」といい山梨に戻る。


そしてオペラとともに色々な景色を見ていく。

春の蓼科牧場。

韮崎市わに塚の桜。


あの時の言葉だけでなく、想いを感じながら、僕は本当にやりたくなって、バイク屋さんを再訪する。そこでPINARELLO DOGMAを手に入れる。


次回、2013年デュアスロン年代別世界選手権オタワ大会。


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