第27章エース栗原回想記
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  • 執筆者の写真エース栗原

第27章エース栗原回想記

2015年8月アルバカーキ遠征


教員を退職し、プロアスリートとなった僕はスタートダッシュを決めるために意気込んでいたデュアスロン日本代表の選考基準をクリアすることが出来ずに終わった。


そして何よりなかなかスポンサーが見つからない。

ゼロではないものの、毎週のように全国各地のレースにエントリーしているため、ひと月で収支12万マイナスという教員時代の貯金とわずかな退職金を食いつぶすというリスキーな生活を送っていた。


「レースに出なければ支出は減らせる」

「レースに出なければ収入が見込めない」


このはざまに揺れながらも各地の遠征に出かけていた。

そしてチャンスは訪れる、香川県高松市で開催されたサンポート高松トライアスロン。

前日入りをして、高松市街をコース試走を兼ねて走っていると元トップトライアスリートでこの大会のMCを務める山本光宏さんとすれ違う。


「おぉ、栗原!元気にやってるか?!」

「はい!教員を辞めて、さらに元気が増しました!」

「教員辞めたの?!もしかして8月2週間ちょいの間時間作れる?」

「レース以外何もないです!笑」

「アメリカのアルバカーキで女子マラソンランナーのトレーニングパートナーやってくれないか??」


というわけで8月にアメリカに飛んだ。

アジア大会女子マラソン4位入賞をして、オリンピックを目指すTOTO陸上競技部の早川英里選手のトレーニングパートナーとして2週間走り続ける。

コーチ:山本光宏さん

トレーナー:白鳥秀司さん

選手:早川英里選手

パートナー:エース栗原


一軒家を借りて、走る食べる癒すの日々を過ごす。

到着後早速、EDION陸上競技部の方々と交流会。

アメリカの南部に位置するニューメキシコ州で住居エリアが標高1,500mにあるため、陸上関係者の準高地トレーニングができる場所として人気がある。

湿度が低い場所のため、気温が高くても走りやすい。そして、大学の全天候グランドや距離表示のある川沿いコース、標高2000mのクロカンコースと、トレーニングメニューに合わせた場所を選択することができる。


トレーニングパートナーの仕事としては設定されたペースでキチンと走ること。1000mでは3秒、400mトラックならば1秒前後の誤差で走るスキルが求められる。


インターバル練習やペース走を実施する前夜は緊張と不安で眠れなかった。

そんな生活を送っている中で、東京/三軒茶屋で知り合ったカメラマンShota Miyakeが車でアメリカ横断しながら撮影している途中のアルバカーキでまさかの再会!!majide

奇跡!

車中泊な生活のショータに宿を提供。笑


そのお礼に素晴らしい写真を撮影してもらった。


素晴らしい経験と奇跡の再会を与えてくれたアルバカーキ遠征。

そして何よりお仕事として収入も得ることができた。


日本に帰国、そして山梨に帰ると状況は一変していた。


《アメリカで2週間アスリートの仕事をしてきたプロアスリートのエース》というスペシャルな仲間からの評価(?)を得ていた。


必死に求めようとしている結果よりも日々の活動や行動の方がはるかに地元の人の心を動かしていることに気づかされた。


そんなスペシャルな箔のおかげで地元北杜市の老舗和菓子屋である金精軒を紹介していただき、そしてスポンサー契約を結んでいただいた。


「地元で頑張っているアスリートを応援しない理由がない」とおっしゃっていただいた時、本当に嬉しかった。


信頼ある地元企業が味方についたことによって、他の地元企業からの応援を少しずつ得る事ができるようになっていた。思ってもいないタイミングで徐々にプロアスリートとしての歯車が回り始める。


とはいえ、アスリートとしてのプライドで次の年の世界選手権に出場するため、足りなかった7秒を埋めるために、練習を積みかさねていく。


次回、2015年11月日本デュアスロン選手権


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